お題《チューリップ》より。悪夢のオクトとマーチのお話。ほのぼの。



―僕は君が好き
この気持ちに嘘はないから―






夢幻界の夢魔の屋敷。その中庭で、紅い髪と紅と金のオッドアイの少年―オクトが、座り込んでいた。一体何をしているのか…。

「うー……;どうやって渡そうかな…」

手には可愛らしい色とりどりの花。そして、そこに埋もれるように顔を出す赤いチューリップ。
誰にも渡すのか……それは、

「オクト!!何?話って」

お団子にした緑の髪と緑と金のオッドアイをもつ少女―マーチが、パタパタと駆け寄ってきた。
オクトはハッとして手にしていた花を後ろに隠しながら振り向く。そういえば、


「ね、ねぇ、マーチ」
「なあに?オクト」
「あ、あ、後で中庭に来てくれる?」
「?いいよ!ランチの後でいいかな」
「う、うん!じゃ!!」



…しまった。そういえば呼び出したんだった。まだ言葉が思いつかないのに…;;あわわ…と焦っていると、マーチが不思議そうに首を傾げる。

「オクト?」
「う、わ!え……と、あごめ…あ、いや……」

意味不明な言葉を譫言のように言っているオクトを見つめるマーチ。早く言わないと!!怒って帰っちゃう!!呼び出したのは自分なのに!焦ったオクトは後ろに隠していた花をポトリと落とした。

「あ…!!」
「あれ?………花?」

オクトが拾おうとする前に、マーチが手に取る。

「かわいい!!…もしかしてこれを私に?」
「え!………うん……/////」

花を手に見つめてくるマーチに、オクトは真っ赤かになり小さく頷く。それを聞いたマーチにパアッと笑顔が咲く。

「ありがとう!!オクト。…とっても嬉しい……」

ほんのり頬を染めている愛しい彼女に、オクトは改めて彼女への気持ちを再確認する。
嬉しそうに花を見つめるマーチにオクトは、

「君が世界で一番大好きだよ」

と心の中で呟いた。



一輪の
チューリップ
に託した彼女への想い…




いつか自分の口から…
その日は
一体いつになるのかな…





【お題提供】秋桜
《チューリップ》より
花言葉…愛の告白


今回はオクトの告白の話をば。でも、きっとマーチは気づいてはいません;(口では言えなかったし…)
私的には二人のこの関係が一番好きだったりしますので、まだ両想いにはさせません。オクトには悪いですが。

ではお目汚し失礼しました。
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