相変わらず、料理という名の殺人兵器を生み出すユリア。命の危険を感じ始めたよろず屋一同は、ある人物に料理指導を依頼。その人物とは?


ユリアの愛情クッキング再び!



ある麗らかな日曜日…


―よろず屋のキッチン―

柚希『えっと。とりあえず簡単な物から教えるね。』

ユリア『うん!』

ユリア、ロザリア、レスカのクラスメートである柚希。何故、こんなところにいるのかと言うと…



数日前―


レスカ『柚希、ちょっといいか?』

柚希『?うん。』

ロザリア『屋上まで来てくれへんか。』

柚希『いいけど…(どうしたのかな。なんか深刻そうな顔してるけど)』




―屋上―

柚希『珍しいね。私に頼み事なんて。どうしたの?』

レスカ『あ、あぁ。柚希、お前料理得意だったよな。』

柚希『んー。得意というか、料理は好きだよ?
料理がどうかしたの?』

ロザリア『あんな。……
料理教えてくれへんか?』

柚希『え?ロザリアに?』

レスカ『おい。主語が抜けているぞ。ロザリアじゃない。……ユリアにだ。』

柚希『ユリアに?え?でも、ユリアって料理出来るんじゃ…』

ロザリア『出来へんから頼んどるんや…』

柚希『出来ない?卵焼きが得意だって言ってたのに…。あれ?二人とも顔が引き攣ってるよ?』

レスカ『…お前は何も知らないんだな…。あれは料理じゃない…殺人兵器だ。』

柚希『えぇ?!さ、殺人兵器??嘘…。』

ロザリア『嘘やないて。ウチも琥珀も何度も病院送りになっとるし。』

レスカ『このあいだも、姉さんのバーの客を全員病院送りにしたしな。』

柚希『わあ。…ユリア……なんて恐ろしい事を…。』

ロザリア『このとおりや!このままじゃ死人が出かねんのや。(土下座)』

レスカ『私からもよろしく頼む(土下座)』

柚希『Σ(レスカまで!?)わ、分かったよ。二人ともとりあえず、頭上げて!!』


―…というわけで、柚希はユリアに料理指導することになった。


殺人兵器とはいえ、料理したことがあるなら、そう苦戦はしないだろう…

柚希はそう考えていたが、それは大きな間違いであることを思い知る事になる。

…―

柚希『じゃあ…ユリア、一度卵焼き作ってみて。』

ユリア『うん!分かった!やるぞ~!!』


柚希はまず、ユリアの実力を見ることに。


柚希(ふんふん…卵を解きほぐして…それから?)


ユリア『えっと!これとこれと…あ、あとこれも!!』

柚希(…え?ちょ、ちょっと待って?なんでワサビと練りガラシ?さらに一味唐辛子まで??
…あれ?何作ってるの?ユリア!!)


ツッコミたいところを必死で抑え見守る柚希。


ユリア『よし!あとは、焼くだけ!』


柚希(全然よし!じゃないよ、ユリア…。あれ?火が強すぎるよ!!それじゃすぐに焦げちゃう…あぁ…案の定真っ黒クロスケに…)


ユリア『わあ!こんがりしてておいしそう!!』


柚希(……こんがりの度合いを超えてるよ…。炭だよもう…。)


ユリア『はい!出来上がり!』

柚希(レスカとロザリアの言ってた意味が分かった…殺人兵器……確かに。)


ユリア『柚希!!味見してみて!!』


柚希『え?…う;分かったよ…;』


…パクリ……Σげほ!けほけほっっ!!


ユリア『美味しいでしょ!!』


柚希(焦げ臭いのと辛いのとで呼吸が出来ない!!)

ユリア『柚希??』


柚希『ユリア!!…げふっ!これ卵焼きじゃないよ!!辛い炭の塊だよ!』

ユリア『えぇ!!そんなはずないよ~!!』


柚希『じゃあ、自分で食べてみてよ!』

ユリア『…;;』


柚希『たとえ、卵と調味料で出来ているとしても、これは立派な殺人兵器だよ!!だいたい、なんで味見しないの?なんで人に食べさせたがるの?』

ユリア『;;ご、ごめんなさい;;;』

柚希『いい?アレンジするのはいいけど、ちゃんとレシピ通りに作れるようになってからにしなさい!!
あと、ちゃんと味見すること!わかった?』


ユリア『はい…;;』



……―

柚希『ユリア、砂糖大さじ2杯ね!ちゃんと計量スプーンで計って…ってそれお玉!』

柚希『ちょ、何入れようとしてるの?お酢いれちゃダメ!唐辛子もダメだから!!アレンジから一旦頭を離しなさい!』


柚希『火は中火で。油は垂らしたら、ペーパーで拭いて… 溶き卵を入れたら軽く掻き混ぜて、固まって来たらフライパンの手前に寄せる…あーあ。スクランブルエッグになってるよ!!』


―よろず屋リビング

琥珀『な、なんだかすごいです…;』

ロザリア『大人しそうな顔してけっこうスパルタやな…』

レスカ『まあ、あのくらいで調度いいんじゃないか?』


そして1時間後…

柚希『はあ…;ようやく形になった。』

ユリア『わあ!黄色い卵焼き…』

柚希『…ユリア。卵焼きは本来黄色いものなんだよ…;』

ユリア『そうなんだ。』


柚希『;;じゃ、味見してみて。自分の舌でしっかり覚えるんだよ!』


ユリア『うん…』


パクリ…モグモグ……


ユリア『お、美味しい!甘くて柔らかくて!!』


柚希『でしょ!これなら皆に食べて貰えるよ!』

ユリア『ありがとう!柚希!!』

柚希『どういたしまして!(笑)』



―よろず屋リビング

パクリ…モグモグ………


琥珀『!お、美味しいです!!凄いじゃないですか、ユリア!』


ロザリア『やれば出来るやん!!』


レスカ『凄い進歩だな。』

ユリア『えへへ。柚希の教え方が良かったんだよ。』

柚希『ううん。ユリアが頑張ったからだよ。
ユリア、料理は基礎が出来てれば、アレンジしても失敗は少ないんだよ。
今後は作れるようになるまで、必ずレシピ通りに作ること。
あと、必ず味見すること。これさえ守れば大丈夫だよ。』

ユリア『うん!!』



…こうして、柚希先生指導の料理教室は幕を閉じた。

あとは、ユリアの向上心に期待!



おまけ


ユリア『ふんふんふーん♪♪』

ロザリア『…また、卵焼き作っとる…』

レスカ『懲り性か…』

琥珀『かれこれ2週間以上、卵焼きばっかり食べてます…。でも、あんなユリアの嬉しそうな顔を見たら、飽きたなんてとても言えないです;』

ロザリア『また、柚希に頼むか?』

レスカ『……そうだな。』

琥珀『ははは;;』



END
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