―――…
――…
―…
「すみません。あんな書き込みしちゃって」
「ううん、気にしないで。そういった類は専門だから」
あの書き込みを見かけた三日後、私は書き込んだ人物の『ねむりねこ』こと、大島暁子と接触した。
見た目は普通の女性。落ち着いた感じで、物腰も柔らかい。少し会話を交わしたが、至って常識人でふざけた様子も見受けられなかった。
「ところで、書き込みの話を詳しく聴かせてもらうわね」
「…はい。実は、去年祖父が亡くなって。その時にあった出来事なんです」
―――…
――…
―…
―その日は葬儀のため、親戚一同、母の実家に勢揃いしていました…。
「あら暁子ちゃん。久しぶりね。元気だった?」
「松子叔母さん。はい、ご無沙汰しています。叔母さんもお元気そうで何よりです」
「あ暁子ねぇちゃん!遊ぼ!遊ぼ!」
叔母の後ろから、飛び出して私の腕にしがみついてきた男の子、基くんは、彼が赤ちゃんの時からよく遊んであげていました。
「基くん、大きくなったわね。んー、ごめんね。お姉ちゃんお手伝いがあるから…」
「ええ!!いいじゃん!ね?」
「こら!基暁子お姉ちゃんを困らせないの!今日はおじいちゃんのお葬式なのよ?また今度にしなさい」
「ちぇー…」
まだ遊びたい盛りで、お葬式がよっぽど退屈なのか。基くんは、式の合間ずっと庭で一人遊んでいました。
しばらくして……
「暁子ちゃん、基知らないかしら?」
「え?さっきまでお庭で遊んでましたよ」
「ええ、私も遊んでる所は見たんだけど…」
「おばさん?」
「もうじきお昼ご飯だから、呼びに行ったんだけど、どこにもいないのよ…」
「そんな……どこに。まさか山に行ったんじゃ……」
この家は歴史が古く、江戸時代から地主をしていたため、屋敷の回りの山を所有していました。
もしかしたら、暇を持て余した基くんが山に行ってしまったのでは……と叔母と二人で話していると、祖母が話し掛けてきました。
「どうしたの?」
「あ、おばあちゃん。基くんがいなくなっちゃって。見かけませんでした?」
「いえ」
「……どこに行っちゃったのかしら……」
叔母が心配そうにつぶやくと、祖母があっと声を漏らしました。
「もしかしたら……旧家に行ったのかしら…」
「旧家?」
今の祖母の家はつい最近増築された母屋で、敷地内には明治、大正、昭和にかけて暮らしていた旧家があったんです。
「あの家はもうじき取り壊す予定なのよ。床も壁もボロボロだから危ないし、それに…」
「それに?」
「……最近、若い人達が忍び込んでるみたいなのよ。危ないって何度か注意してるんだけどね」
どうやらその旧家を、心霊スポットと称して肝試しをしている人達がいるそうなんです。
「実際、私はあの家で産まれてからずっと暮らしていたけど、何もなかったし見なかったわ。心配なのは、不法侵入してる人達に遭遇してる可能性がある事ね」
「基っ………!」
「あ、叔母さん!!」
旧家に向かおうとする叔母を私は引き止めました。なぜだか解りません。でもなんだか、叔母を行かせたら危険だと感じたんです。
「暁子ちゃん!離して!!」
「落ち着いてください!まだ基くんが旧家に行ったか解らないじゃないですか!」
「っ!!……そ、そうね。ごめんなさい……」
「……行ってみようか。今鍵を持ってくるわ。暁子ちゃん、私と一緒に旧家に行ってみましょう。松子さんは警察に連絡した後、幸弘さん達に知らせて。彼等と周辺を探しなさい」
「……はい。暁子ちゃんお義母さん、旧家の方はお願いします」
叔母を見送った後、私は祖母と一緒に旧家に向かったんです。
――…
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「すみません。あんな書き込みしちゃって」
「ううん、気にしないで。そういった類は専門だから」
あの書き込みを見かけた三日後、私は書き込んだ人物の『ねむりねこ』こと、大島暁子と接触した。
見た目は普通の女性。落ち着いた感じで、物腰も柔らかい。少し会話を交わしたが、至って常識人でふざけた様子も見受けられなかった。
「ところで、書き込みの話を詳しく聴かせてもらうわね」
「…はい。実は、去年祖父が亡くなって。その時にあった出来事なんです」
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―その日は葬儀のため、親戚一同、母の実家に勢揃いしていました…。
「あら暁子ちゃん。久しぶりね。元気だった?」
「松子叔母さん。はい、ご無沙汰しています。叔母さんもお元気そうで何よりです」
「あ暁子ねぇちゃん!遊ぼ!遊ぼ!」
叔母の後ろから、飛び出して私の腕にしがみついてきた男の子、基くんは、彼が赤ちゃんの時からよく遊んであげていました。
「基くん、大きくなったわね。んー、ごめんね。お姉ちゃんお手伝いがあるから…」
「ええ!!いいじゃん!ね?」
「こら!基暁子お姉ちゃんを困らせないの!今日はおじいちゃんのお葬式なのよ?また今度にしなさい」
「ちぇー…」
まだ遊びたい盛りで、お葬式がよっぽど退屈なのか。基くんは、式の合間ずっと庭で一人遊んでいました。
しばらくして……
「暁子ちゃん、基知らないかしら?」
「え?さっきまでお庭で遊んでましたよ」
「ええ、私も遊んでる所は見たんだけど…」
「おばさん?」
「もうじきお昼ご飯だから、呼びに行ったんだけど、どこにもいないのよ…」
「そんな……どこに。まさか山に行ったんじゃ……」
この家は歴史が古く、江戸時代から地主をしていたため、屋敷の回りの山を所有していました。
もしかしたら、暇を持て余した基くんが山に行ってしまったのでは……と叔母と二人で話していると、祖母が話し掛けてきました。
「どうしたの?」
「あ、おばあちゃん。基くんがいなくなっちゃって。見かけませんでした?」
「いえ」
「……どこに行っちゃったのかしら……」
叔母が心配そうにつぶやくと、祖母があっと声を漏らしました。
「もしかしたら……旧家に行ったのかしら…」
「旧家?」
今の祖母の家はつい最近増築された母屋で、敷地内には明治、大正、昭和にかけて暮らしていた旧家があったんです。
「あの家はもうじき取り壊す予定なのよ。床も壁もボロボロだから危ないし、それに…」
「それに?」
「……最近、若い人達が忍び込んでるみたいなのよ。危ないって何度か注意してるんだけどね」
どうやらその旧家を、心霊スポットと称して肝試しをしている人達がいるそうなんです。
「実際、私はあの家で産まれてからずっと暮らしていたけど、何もなかったし見なかったわ。心配なのは、不法侵入してる人達に遭遇してる可能性がある事ね」
「基っ………!」
「あ、叔母さん!!」
旧家に向かおうとする叔母を私は引き止めました。なぜだか解りません。でもなんだか、叔母を行かせたら危険だと感じたんです。
「暁子ちゃん!離して!!」
「落ち着いてください!まだ基くんが旧家に行ったか解らないじゃないですか!」
「っ!!……そ、そうね。ごめんなさい……」
「……行ってみようか。今鍵を持ってくるわ。暁子ちゃん、私と一緒に旧家に行ってみましょう。松子さんは警察に連絡した後、幸弘さん達に知らせて。彼等と周辺を探しなさい」
「……はい。暁子ちゃんお義母さん、旧家の方はお願いします」
叔母を見送った後、私は祖母と一緒に旧家に向かったんです。
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