出会い
「ん~…いい天気になって良かったね。なるみ!」
親友の里穂が伸びをしながらなるみに話し掛けた。
今日はずっと楽しみにしていた修学旅行。場所は、古い建造物が今なお残る荻月市。町そのものが重要文化財に指定されているだけあり、周りには近代的な建物は少ない。あっても、コンビニかスーパーくらいだ。
「うん。静かな所ね」
「早く、自由行動にならないかなあ」
「クス……里穂ったら」
「華楠高校の生徒はこちらに集まってください」
遠くで声を張り上げている担任の声に、なるみが視線を巡らせると、ちょうど一台のバスが到着した所だった。
「あたしらだけじゃないんだね」
「まあ、修学旅行シーズンだし。里穂、行こう」
「あ、待ってよ~」
なるみは里穂の手を引き、集合場所へと向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
担任から注意やこの旅行の趣旨などの話を聞き、待ちに待った自由行動の時間になった。
「ふぃ~小原のやつ話長すぎ…」
「いつもの事じゃない」
「そうだけどさ。なんかもう疲れた…;」
「これからじゃない。ほら、行くよ!」
「は~い」
早くもくたびれている里穂になるみは苦笑しながら、パンフレットを広げる。色々見たい所はあるが、時間がない。なるみと里穂は街へと向かい歩きだした。
街を散策し、古いお店や史料館を見学したり、街の住人のお年寄りの話を聞かせてもらったりし、集合場所のホテルに着いたのは、夕方の6時を回った頃だった。
「あたし達が最後みたいだね」
「そうね…夢中になりすぎちゃったかな…;」
「なるみって、こういう場所好きだよね」
「うん!大好き!」
「何で?」
「へ?何でって…………何でだろう」
「何それ!(笑)」
「もう!里穂。笑いすぎ」
そんな会話をしながら、2階に登ろうとしたとき、背後から声を掛けられた。
「ねぇ、そこの君」
「え?」
なるみが振り向くとそこには、背が高く綺麗な顔立ちをした男の子がいた。状況が掴めず、なるみが困惑していると、男の子は片手を前に出した。
「これ…落としたよ」
「え?」
男の子の手には、なるみの宝物である懐中時計。
「あ、ありがとう!!拾ってくれたのね」
「うん……じゃ……」
男の子はなるみの手に懐中時計を乗せると、くるりと背を向けると、スタスタと売店の方に歩いていった。
呆然と見送るなるみと里穂。
しばらくして、
「変な奴……」
と里穂が呟いた。
制服が違う事から、おそらくあの時見たバスに乗っていた他校生だろう。
なるみは懐中時計と男の子が去って行った方ををしばらく見つめた後、制服のポケットに入れた。
「また、会えるかな」
「なるみ。ああいうのがタイプなの?」
「え、あ、いや………;部屋に行こう」
「……怪しい…」
「もう、里穂!!」
「はいはい…(笑)」
「はあ……;」
なるみと里穂は部屋に向かい歩きはじめた。
この時、なるみはまだ知らなかった。まさかこの後で、あんな恐ろしい目にあうなんて……想像すらしていなかった。
夕食も終わり就寝までの時間、なるみは部屋のベッドの上で里穂とおしゃべりしていた。
このホテルは昔、この街の地主が建てた洋館を、リフォームしたもので、外観は古めかしいが、内装はとても綺麗だった。
最初こそ里穂は「何か出そう…」と言っていたが、中に入ってホッとしたようだった。
「でね。その時に小原がさあ…」
里穂が話をしている間、なるみはずっと違和感を覚えていた。
実は、午後の自由行動の時に街を散策している時に、今日初めて来たはずなのに、なぜか前から知っていたような……。デジャヴュという物だろうか。それにしては、細部まで鮮明に思い出す。そんな感覚だった。
おそらく…なんとなくだが、最近見はじめたおかしな夢が関係しているような気がしてならなかった。
「なるみ?」
里穂がなるみの顔を覗き込む。
「え?なに?」
「も~、大丈夫?さっきから上の空だよ?疲れた?」
「う、うん…そうみたい…」
「じゃ、ちょっと早いけど寝ようか」
「そうね。明日も早いし」
「おやすみ、なるみ」
「おやすみなさい、里穂」
二人はベッドに潜り込み眠りについた。
……さあ、時は来た。
「ん~…いい天気になって良かったね。なるみ!」
親友の里穂が伸びをしながらなるみに話し掛けた。
今日はずっと楽しみにしていた修学旅行。場所は、古い建造物が今なお残る荻月市。町そのものが重要文化財に指定されているだけあり、周りには近代的な建物は少ない。あっても、コンビニかスーパーくらいだ。
「うん。静かな所ね」
「早く、自由行動にならないかなあ」
「クス……里穂ったら」
「華楠高校の生徒はこちらに集まってください」
遠くで声を張り上げている担任の声に、なるみが視線を巡らせると、ちょうど一台のバスが到着した所だった。
「あたしらだけじゃないんだね」
「まあ、修学旅行シーズンだし。里穂、行こう」
「あ、待ってよ~」
なるみは里穂の手を引き、集合場所へと向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
担任から注意やこの旅行の趣旨などの話を聞き、待ちに待った自由行動の時間になった。
「ふぃ~小原のやつ話長すぎ…」
「いつもの事じゃない」
「そうだけどさ。なんかもう疲れた…;」
「これからじゃない。ほら、行くよ!」
「は~い」
早くもくたびれている里穂になるみは苦笑しながら、パンフレットを広げる。色々見たい所はあるが、時間がない。なるみと里穂は街へと向かい歩きだした。
街を散策し、古いお店や史料館を見学したり、街の住人のお年寄りの話を聞かせてもらったりし、集合場所のホテルに着いたのは、夕方の6時を回った頃だった。
「あたし達が最後みたいだね」
「そうね…夢中になりすぎちゃったかな…;」
「なるみって、こういう場所好きだよね」
「うん!大好き!」
「何で?」
「へ?何でって…………何でだろう」
「何それ!(笑)」
「もう!里穂。笑いすぎ」
そんな会話をしながら、2階に登ろうとしたとき、背後から声を掛けられた。
「ねぇ、そこの君」
「え?」
なるみが振り向くとそこには、背が高く綺麗な顔立ちをした男の子がいた。状況が掴めず、なるみが困惑していると、男の子は片手を前に出した。
「これ…落としたよ」
「え?」
男の子の手には、なるみの宝物である懐中時計。
「あ、ありがとう!!拾ってくれたのね」
「うん……じゃ……」
男の子はなるみの手に懐中時計を乗せると、くるりと背を向けると、スタスタと売店の方に歩いていった。
呆然と見送るなるみと里穂。
しばらくして、
「変な奴……」
と里穂が呟いた。
制服が違う事から、おそらくあの時見たバスに乗っていた他校生だろう。
なるみは懐中時計と男の子が去って行った方ををしばらく見つめた後、制服のポケットに入れた。
「また、会えるかな」
「なるみ。ああいうのがタイプなの?」
「え、あ、いや………;部屋に行こう」
「……怪しい…」
「もう、里穂!!」
「はいはい…(笑)」
「はあ……;」
なるみと里穂は部屋に向かい歩きはじめた。
この時、なるみはまだ知らなかった。まさかこの後で、あんな恐ろしい目にあうなんて……想像すらしていなかった。
夕食も終わり就寝までの時間、なるみは部屋のベッドの上で里穂とおしゃべりしていた。
このホテルは昔、この街の地主が建てた洋館を、リフォームしたもので、外観は古めかしいが、内装はとても綺麗だった。
最初こそ里穂は「何か出そう…」と言っていたが、中に入ってホッとしたようだった。
「でね。その時に小原がさあ…」
里穂が話をしている間、なるみはずっと違和感を覚えていた。
実は、午後の自由行動の時に街を散策している時に、今日初めて来たはずなのに、なぜか前から知っていたような……。デジャヴュという物だろうか。それにしては、細部まで鮮明に思い出す。そんな感覚だった。
おそらく…なんとなくだが、最近見はじめたおかしな夢が関係しているような気がしてならなかった。
「なるみ?」
里穂がなるみの顔を覗き込む。
「え?なに?」
「も~、大丈夫?さっきから上の空だよ?疲れた?」
「う、うん…そうみたい…」
「じゃ、ちょっと早いけど寝ようか」
「そうね。明日も早いし」
「おやすみ、なるみ」
「おやすみなさい、里穂」
二人はベッドに潜り込み眠りについた。
……さあ、時は来た。
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カ
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カ
ラ
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ニ
ゲ
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ナ
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第一話《完》
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第一話《完》
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