交流所にて、灯里さまのトピックを発見!!
宝石の言葉で、ということで、管理人の誕生石のオパールで書いていただきました。
いつものバトル風のカッコイイ感じではなく、ほのぼの暖かいお話です。
CAST:雪菜、蓮汰
終業を告げる鐘の音が鳴り響く。その音を聞いた雪菜は、シャープペンシルを置いて、ルーズリーフをバインダーに閉じた。後はHRが終われば帰れる。ふう、と息をついて机の上を片付けていると、ポケットに入れている携帯が振動した。
まだ担任は来ていなかったため、ポケットから出して携帯を開くと、どうやらメールが来たらしい。携帯に表示された名を見て胸が高鳴る。
From 蓮ちゃん
To ×××
Sub おつかれ、雪菜。
部活、急に休みになったから、今日はオレが迎えに行くな!
「蓮ちゃん……」
決して長いメールではない。それでも嬉しかった。携帯を握りしめ、彼の名を呼ぶ。
今でこそ普通の学園生活を送っている雪菜だが、以前はここ――桜花台学園ではなく、楓華学園に通っていた。
何故、彼女が桜花台学園に転校してきたかというと、そこでいじめを受けていたからである。執拗ないじめを受け、人間不信に陥っていたほどだ。
恋人である蓮汰や友人たちに支えられ、何とか通っていたのだが、耐え切れなくなってこの学園に転校したのだった。
しかし、雪菜をいじめていた生徒が、この桜花台学園まで追ってきたため、雪菜はよろず屋に依頼した。
彼女たちは見事に生徒を学園から追い出してくれ、お陰で今は穏やかな日々を送っている。
自分でも気付かない内に顔が緩んでいたのだろう。 仲の良い女性徒が含みのある笑みを浮かべて雪菜を見つめているではないか。
「なになに、雪ちゃん? あー、分かった。彼からメールでしょ?」
「ええっと、その……はい」
はにかむように笑えば、女性徒も自分のことのように喜んでくれる。いじめにあっていた時は、こんな穏やかな日々がくるとはとても思えなかった。
もし蓮汰たちがいなければ、本当に耐えられなかっただろう。
「あんな格好いい彼がいて羨ましいなぁ。あたしも彼氏欲しい!」
「すぐ出来ますよ!」
「もう、雪ちゃん可愛すぎ!!」
顔を赤くして力説すれば、女生徒は勢い良く雪菜に抱きついてくる。少し苦しかったが、あたたかくて安心した。照れくさくて、でもこんな友人がそばにいてくれることが嬉しい。
HRが終わって直ぐ様、友人に別れを告げて正門を目指す。これから蓮汰と会えると思えば、ドキドキして堪らなかった。早足で階段を降りて玄関を出る。
もうすぐ彼に会える。心臓が早鐘のように脈打ち、とても鎮まりそうにない。
下校する生徒たちを追い越すと、正門にもたれかかるようにして立つ少年が視界に入った。
ここからでもよく分かる。癖のある茶の髪に同色の瞳。繊細な美貌は何度見ても見とれてしまう。彼は楓華学園の制服を纏っていた。
女性徒たちは通り過ぎた後も、何度も振り返って少年を見ている。
少年のブラウンの瞳が雪菜を捉えた途端、優しい光を帯びた。とろけるような笑顔に、雪菜は思わず息を呑む。やがて雪菜は、勇気を振り絞って駆け出した。
幸福(しあわせ)を噛み締めながら、愛しい彼のもとへと。
「蓮ちゃん!」
END
宝石の言葉で、ということで、管理人の誕生石のオパールで書いていただきました。
いつものバトル風のカッコイイ感じではなく、ほのぼの暖かいお話です。
CAST:雪菜、蓮汰
終業を告げる鐘の音が鳴り響く。その音を聞いた雪菜は、シャープペンシルを置いて、ルーズリーフをバインダーに閉じた。後はHRが終われば帰れる。ふう、と息をついて机の上を片付けていると、ポケットに入れている携帯が振動した。
まだ担任は来ていなかったため、ポケットから出して携帯を開くと、どうやらメールが来たらしい。携帯に表示された名を見て胸が高鳴る。
From 蓮ちゃん
To ×××
Sub おつかれ、雪菜。
部活、急に休みになったから、今日はオレが迎えに行くな!
「蓮ちゃん……」
決して長いメールではない。それでも嬉しかった。携帯を握りしめ、彼の名を呼ぶ。
今でこそ普通の学園生活を送っている雪菜だが、以前はここ――桜花台学園ではなく、楓華学園に通っていた。
何故、彼女が桜花台学園に転校してきたかというと、そこでいじめを受けていたからである。執拗ないじめを受け、人間不信に陥っていたほどだ。
恋人である蓮汰や友人たちに支えられ、何とか通っていたのだが、耐え切れなくなってこの学園に転校したのだった。
しかし、雪菜をいじめていた生徒が、この桜花台学園まで追ってきたため、雪菜はよろず屋に依頼した。
彼女たちは見事に生徒を学園から追い出してくれ、お陰で今は穏やかな日々を送っている。
自分でも気付かない内に顔が緩んでいたのだろう。 仲の良い女性徒が含みのある笑みを浮かべて雪菜を見つめているではないか。
「なになに、雪ちゃん? あー、分かった。彼からメールでしょ?」
「ええっと、その……はい」
はにかむように笑えば、女性徒も自分のことのように喜んでくれる。いじめにあっていた時は、こんな穏やかな日々がくるとはとても思えなかった。
もし蓮汰たちがいなければ、本当に耐えられなかっただろう。
「あんな格好いい彼がいて羨ましいなぁ。あたしも彼氏欲しい!」
「すぐ出来ますよ!」
「もう、雪ちゃん可愛すぎ!!」
顔を赤くして力説すれば、女生徒は勢い良く雪菜に抱きついてくる。少し苦しかったが、あたたかくて安心した。照れくさくて、でもこんな友人がそばにいてくれることが嬉しい。
HRが終わって直ぐ様、友人に別れを告げて正門を目指す。これから蓮汰と会えると思えば、ドキドキして堪らなかった。早足で階段を降りて玄関を出る。
もうすぐ彼に会える。心臓が早鐘のように脈打ち、とても鎮まりそうにない。
下校する生徒たちを追い越すと、正門にもたれかかるようにして立つ少年が視界に入った。
ここからでもよく分かる。癖のある茶の髪に同色の瞳。繊細な美貌は何度見ても見とれてしまう。彼は楓華学園の制服を纏っていた。
女性徒たちは通り過ぎた後も、何度も振り返って少年を見ている。
少年のブラウンの瞳が雪菜を捉えた途端、優しい光を帯びた。とろけるような笑顔に、雪菜は思わず息を呑む。やがて雪菜は、勇気を振り絞って駆け出した。
幸福(しあわせ)を噛み締めながら、愛しい彼のもとへと。
「蓮ちゃん!」
END
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