以前に、雪合戦コラボを書いてくださった毛糸さまのサイト《羊のあくび》さんと相互させていただきました!!
そして、なんと相互記念にロザリアとレスカと琥珀の何気ない日常のお話を書いていただきました!
毛糸さまありがとうございました!
これからも末永くよろしくお願いします!!
シマウマって白シマなんですよ!!ウフフo(^-^)o
CAST:琥珀・ロザリア・レスカ
「なあなあ、レスカ~。知っとるか? シマウマってな、黒シマやなくて」
「白シマなんだろう」
ごくごく平凡な昼下がりだった。よろず屋には火急の依頼もなく、麗らかな日差しに相応の和やかさが満ちている。それぞれが好きな事をして僅かな余暇を楽しんでいた折、嬉々として口を開いたロザリアの笑顔は、至極冷静なレスカの返答によって僅かに引きつった。
何故そのような雑学を脈絡もなく披露したくなったのか。それは単純、ただ先日流し読みしていた雑誌で『野生動物の不思議』なる特集を目にしたからである。
実生活におよそ役に立たないであろう情報ではあるが、そういったものほど他人に吹聴したくなるのは人も吸血鬼も同じだ。たまになら読書も悪くはない、と思ったほどである。そして、自分も知らなかったのだから、きっと相手も知るまい――と決め付けてかかったのが、どうやらいけなかったようだ。
一方的な対抗意識がふつふつと燃え滾るのを感じながら、ロザリアは拳を握る手に力を込めて、玲瓏なる始末屋に食い下がる。
「ほ、ほんならなあ……っ、シマウマの鳴き声! 流石に、どないなもんか知らんやろ。あれはな」
「確か、馬とは全く違う鳴き方だったか。どちらかというと、ワンワンといったものに近かったと記憶しているが」
「うぐっ! な、なんでそない無駄知識が……」
「ついでに、シマウマの派手なシマ模様は、サバンナにおいては擬態として有効だな。遠目からでは木立のように見えるし、群れで移動すれば目立つ模様ゆえに個体ごとの境界が限りなく薄まる効果が」
「ええ、ほんまに何なんやもう! 可笑しいで、そんなに詳しいの……! 親戚にシマウマでも居るんやないか!? だって、ウチかてそこまで知らんかったし……、あ」
「別に、誰でも知っている事だろう。しかし……なんだ、知らなかったのか。なら、良い勉強になったな。良かったじゃないか」
ぐうの音も出ない、とは正にこの事か。ロザリアの頬が真っ赤になっているのに、レスカは眉ひとつ動かさず踵を返す。
始末屋の言うとおり、もしも此処で交わされたシマウマ論が一般的なものであったとしても、少なくとも期待で胸を膨らましていた吸血鬼の少女にとって、それは何ら関係ないのだ。ただ、純粋に――けれど、今となってはそんな理由もとうに意味をなさない。
その瞬間、ロザリアの意識からはシマウマも、雑学が詰め込まれた大衆雑誌も抜け落ちる。
代わりに彼女の思考へ君臨したのは、昨夜カスタマイズが完了したばかりのバズーカ砲の存在だった。
◇
もうもうと煙が立ち込めている。焼け焦げた臭い、吹き飛ばされた家具、崩壊しきった室内。外は相変わらずの穏やかな陽気であるが、よろず屋の内部はまるで別世界であった。
一室を丸ごと台無しにした武器を抱えたまま、正座をさせられているロザリアの前で、琥珀はその桃色の目尻に薄っすらと涙すら浮かべて詰め寄る。
「もう! いつも言ってるじゃないですか、どうして分かってくれないんです……!?」
「や、琥珀! ちゃうんやて、今回はっ。別に、最初からこのハゲを実験台にしたかったんとちゃう……!」
「前も言ったが、私はハゲていないぞ」
「言われんでも知っとるわ、シマウマハゲ!」
「言ってる傍からケンカしないで、って……シマウマ?」
「あ……」
それは全ての発端だ。しかし、この上こだわるいわれもない。だというのに、ごく自然な勢いで口を突いて出た動物の名に、バズーカに添えていた手の片方を離して口元を押さえる。
全員の思考の内部を白と黒の派手な馬が駆け巡った後、レスカは頃合を見計らってゆっくりと呟いた。
「何を驚いているんだ。……別に何時もどおりじゃないか、何もかも」
『Z as in zebra』
(喧嘩の理由はAから始まり、Zに辿り着いたらそこでお終い。始めに戻って最初から)
そして、なんと相互記念にロザリアとレスカと琥珀の何気ない日常のお話を書いていただきました!
毛糸さまありがとうございました!
これからも末永くよろしくお願いします!!
シマウマって白シマなんですよ!!ウフフo(^-^)o
CAST:琥珀・ロザリア・レスカ
「なあなあ、レスカ~。知っとるか? シマウマってな、黒シマやなくて」
「白シマなんだろう」
ごくごく平凡な昼下がりだった。よろず屋には火急の依頼もなく、麗らかな日差しに相応の和やかさが満ちている。それぞれが好きな事をして僅かな余暇を楽しんでいた折、嬉々として口を開いたロザリアの笑顔は、至極冷静なレスカの返答によって僅かに引きつった。
何故そのような雑学を脈絡もなく披露したくなったのか。それは単純、ただ先日流し読みしていた雑誌で『野生動物の不思議』なる特集を目にしたからである。
実生活におよそ役に立たないであろう情報ではあるが、そういったものほど他人に吹聴したくなるのは人も吸血鬼も同じだ。たまになら読書も悪くはない、と思ったほどである。そして、自分も知らなかったのだから、きっと相手も知るまい――と決め付けてかかったのが、どうやらいけなかったようだ。
一方的な対抗意識がふつふつと燃え滾るのを感じながら、ロザリアは拳を握る手に力を込めて、玲瓏なる始末屋に食い下がる。
「ほ、ほんならなあ……っ、シマウマの鳴き声! 流石に、どないなもんか知らんやろ。あれはな」
「確か、馬とは全く違う鳴き方だったか。どちらかというと、ワンワンといったものに近かったと記憶しているが」
「うぐっ! な、なんでそない無駄知識が……」
「ついでに、シマウマの派手なシマ模様は、サバンナにおいては擬態として有効だな。遠目からでは木立のように見えるし、群れで移動すれば目立つ模様ゆえに個体ごとの境界が限りなく薄まる効果が」
「ええ、ほんまに何なんやもう! 可笑しいで、そんなに詳しいの……! 親戚にシマウマでも居るんやないか!? だって、ウチかてそこまで知らんかったし……、あ」
「別に、誰でも知っている事だろう。しかし……なんだ、知らなかったのか。なら、良い勉強になったな。良かったじゃないか」
ぐうの音も出ない、とは正にこの事か。ロザリアの頬が真っ赤になっているのに、レスカは眉ひとつ動かさず踵を返す。
始末屋の言うとおり、もしも此処で交わされたシマウマ論が一般的なものであったとしても、少なくとも期待で胸を膨らましていた吸血鬼の少女にとって、それは何ら関係ないのだ。ただ、純粋に――けれど、今となってはそんな理由もとうに意味をなさない。
その瞬間、ロザリアの意識からはシマウマも、雑学が詰め込まれた大衆雑誌も抜け落ちる。
代わりに彼女の思考へ君臨したのは、昨夜カスタマイズが完了したばかりのバズーカ砲の存在だった。
◇
もうもうと煙が立ち込めている。焼け焦げた臭い、吹き飛ばされた家具、崩壊しきった室内。外は相変わらずの穏やかな陽気であるが、よろず屋の内部はまるで別世界であった。
一室を丸ごと台無しにした武器を抱えたまま、正座をさせられているロザリアの前で、琥珀はその桃色の目尻に薄っすらと涙すら浮かべて詰め寄る。
「もう! いつも言ってるじゃないですか、どうして分かってくれないんです……!?」
「や、琥珀! ちゃうんやて、今回はっ。別に、最初からこのハゲを実験台にしたかったんとちゃう……!」
「前も言ったが、私はハゲていないぞ」
「言われんでも知っとるわ、シマウマハゲ!」
「言ってる傍からケンカしないで、って……シマウマ?」
「あ……」
それは全ての発端だ。しかし、この上こだわるいわれもない。だというのに、ごく自然な勢いで口を突いて出た動物の名に、バズーカに添えていた手の片方を離して口元を押さえる。
全員の思考の内部を白と黒の派手な馬が駆け巡った後、レスカは頃合を見計らってゆっくりと呟いた。
「何を驚いているんだ。……別に何時もどおりじゃないか、何もかも」
『Z as in zebra』
(喧嘩の理由はAから始まり、Zに辿り着いたらそこでお終い。始めに戻って最初から)
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