お題《インカローズ》より。雫と悠希の出会いの話。ほのぼの。
ある晴れた日の午後。
薄い若葉色の着物に朱のシンプルな帯をつけた、お下げの女性が、人がごった返す商店街を歩いていた。
「今日のお夕飯何にしようかしら…」
お店を覗きながら呟く女性、雫。彼女は水樹の姉である。活発で気の強い妹に対し、大人しく体が弱い。なので、本当は人込みが苦手なのだが、夕飯の買い物には行かなくてはならない。早く済ませなくては…と、雫はお店に入っていった。
1時間後、沢山の買物袋を抱えた雫が店から出てきた。
「買い過ぎちゃったかしら……。あら、もうこんな時間!急いで帰らないと…」
と歩き出した時、雫の視界がグラリと揺れ、思わずその場にしゃがみ込む。
雫は頭を抑え浅く呼吸をする。目眩と息切れ…いつもこの症状がでると、しばらくは動けない。周りに行き交う人々は、まるで雫の存在が見えないかのように通り過ぎていく。
どうしよう……と焦っていると、
「大丈夫か?」
若い男の声が聞こえた。雫はグラグラする頭を抑えながら、そろりと見上げると黒髪で心配そうな顔立ちの整った男性が覗きこんでいる。
「具合悪いのか?」
「す、すみません。ちょっと目眩がして………少しすれば大丈夫なので…ありがとうございます」
「………」
男性は黙って何かを考えているような表情をし、おもむろに買物袋を持ち、腕に掛ける。雫が驚いて見上げると、男性は優しく微笑み、雫の体に手を回し抱き上げた。
「あ、あの……」
「近くに俺の車があるから、恥ずかしいかもしれねぇけど、少しの間我慢してな」
「え………」
「家まで送るよ」
「で、でも……これ以上ご迷惑は……」
「迷惑?迷惑だったらこんな事しねぇし、それにあんた顔真っ青だぜ?暫く動けねぇだろ?」
「…………////;」
雫を軽々と抱き上げ、車を止めてある駐車場へと歩いていった。
【お題提供】秋桜
《インカローズ》より
宝石言葉…優しさ
今回は雫のお話を書きました。お相手は名前は出てきませんが、悠希です。
二人の出会い…的なコンセプトで。
―この出会いはきっと……―
優しい人
優しい人
ある晴れた日の午後。
薄い若葉色の着物に朱のシンプルな帯をつけた、お下げの女性が、人がごった返す商店街を歩いていた。
「今日のお夕飯何にしようかしら…」
お店を覗きながら呟く女性、雫。彼女は水樹の姉である。活発で気の強い妹に対し、大人しく体が弱い。なので、本当は人込みが苦手なのだが、夕飯の買い物には行かなくてはならない。早く済ませなくては…と、雫はお店に入っていった。
1時間後、沢山の買物袋を抱えた雫が店から出てきた。
「買い過ぎちゃったかしら……。あら、もうこんな時間!急いで帰らないと…」
と歩き出した時、雫の視界がグラリと揺れ、思わずその場にしゃがみ込む。
雫は頭を抑え浅く呼吸をする。目眩と息切れ…いつもこの症状がでると、しばらくは動けない。周りに行き交う人々は、まるで雫の存在が見えないかのように通り過ぎていく。
どうしよう……と焦っていると、
「大丈夫か?」
若い男の声が聞こえた。雫はグラグラする頭を抑えながら、そろりと見上げると黒髪で心配そうな顔立ちの整った男性が覗きこんでいる。
「具合悪いのか?」
「す、すみません。ちょっと目眩がして………少しすれば大丈夫なので…ありがとうございます」
「………」
男性は黙って何かを考えているような表情をし、おもむろに買物袋を持ち、腕に掛ける。雫が驚いて見上げると、男性は優しく微笑み、雫の体に手を回し抱き上げた。
「あ、あの……」
「近くに俺の車があるから、恥ずかしいかもしれねぇけど、少しの間我慢してな」
「え………」
「家まで送るよ」
「で、でも……これ以上ご迷惑は……」
「迷惑?迷惑だったらこんな事しねぇし、それにあんた顔真っ青だぜ?暫く動けねぇだろ?」
「…………////;」
雫を軽々と抱き上げ、車を止めてある駐車場へと歩いていった。
貴方の優しさは、
まるで暖かい光りを放つ
インカローズ
車に着いて
貴方の手が離れたとき
少し寂しかったのは
きっと気のせいではないはず
まるで暖かい光りを放つ
インカローズ
車に着いて
貴方の手が離れたとき
少し寂しかったのは
きっと気のせいではないはず
【お題提供】秋桜
《インカローズ》より
宝石言葉…優しさ
今回は雫のお話を書きました。お相手は名前は出てきませんが、悠希です。
二人の出会い…的なコンセプトで。
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