―ミィの場合―
ここは夢幻界……。
門番であるミィは悩んでいた。
「……どうしようかな…」
「さっきからブツブツどうしたの?」
「い?あ、いや……ははは…;」
どうやら先程までの呟きは、相棒であるティナに全て聞かれていたようで、不審な顔を向けられ苦笑いを返す。
「珍しいわね。キャンディーも舐めずに考え事なんて。そんなに重大な事?」
「え;………うん……まあ」
「へぇ………」
微笑しつつ、深くは聞いてこないティナに、ミィは胸を撫で下ろす。たぶん、ティナは気づいてはいるのだろう。人間界は今、バレンタインというお祭りに向けて騒いでいる。門番であり、この場所から動けないミィが何故知っているのかと言うと、数日前、かぐやから聞いたからだった。
「ねぇ、かぐや」
「はい?なんですか?」
「す、好きな人に思いを伝える方法、教えて」
「好きな……人?」
突然の申し出に目を丸くするかぐやに、ミィは真っ赤になりながら俯いた。
「そうですね…告白すればいいんじゃないでしょうか」
「どうやって?」
「あ、と。あ!バレンタインの日に、チョコレートをあげてその時に、告白するとか」
「バレンタイン?チョコレート?」
聞き慣れない単語。キャンディーはよく知っているが、それ以外のお菓子はほとんど知らないミィ。バレンタインはおろか、チョコレートすらどんなものか分からない。うーんと首を捻るミィに、かぐやは説明した。
「バレンタインというのはお祭りの事なんですよ。2/14に、好きな人にお菓子とかをプレゼントして、想いを伝える日なんです」
「へぇ!じゃあチョコレートって?」
「カカオという豆から出来る、黒っぽくて固くて……えーと…すごく甘いお菓子なんです。キャンディーが好きなミィさんなら、きっと気に入りますよ」
「ふむふむ……ブライアスって、チョコレート好きかな?」
「え?ブライアスさん?……どうでしょうか。苦手な男性も居ますからね」
今思えば、ブライアスが好きだとかぐやに教えてしまっているのだが、バレンタインとチョコレートで頭が一杯のミィはそれどころではなかった。
「チョコレートかあ……」
ミィが何気なく口にすると、ティナは妖しげに笑う。
「チョコレートがどうかしたの?」
「へ!?いやいや!なんでもないよ?ないです、はい!!」
「あらそう。後二日しかないわよ?どうする気?」
「どうするって……って、何言ってんのよ!」
思わず声をあげるミィに、ティナはクスクスと笑う。
「そんなに好きなら好きって言っちゃえばいいのに。変な所で意地を張るんだから…」
「っ!!す、すすすす好きって!?だ、誰の事よ!いい加減にしないと怒るわよ!」
「はいはい、ごめんなさいね」
「~~/////ティ~ナ~!!」
真っ赤になって反論するミィをさらりとかわし、黒いトレンチコートを靡かせ、見回りに出かけた。一方のミィは全く…とブツブツ言いながら、再びバレンタインへと思考を切り替えた。
2/14…バレンタイン当日、ミィはブライアスを呼び出した。結局、チョコレートは用意出来なかった。夢幻界の守人である限り、この場から離れることは出来ないし、かといってかぐややティナには頼めないし何よりも、自分は食べた事がないため不安。と言う訳でたどり着いた結論が、キャンディーだった。キャンディーなら自分でいつも持っているし、味もよく知っている。ブライアスが甘い物が大丈夫なのかどうかは謎だが。
「喜んでくれるかな……ブライアス……」
「喜ぶって、何を?」
「!!」
ミィの小さな呟きに、聞き慣れた愛しい彼の声。ミィは驚いて飛び上がり、バッと振り向くと、にこにこしたブライアスがいた。顔を真っ赤にして口をパクパクさせているミィをブライアスは優しく抱きしめる。大好きな彼の匂いに、ミィはウットリと目を閉じる。
しばらく抱き合ってから、ミィはキャンディーをブライアスに差し出した。
「ブライアス、Happy valentine!!大好き!!」
END
ここは夢幻界……。
門番であるミィは悩んでいた。
「……どうしようかな…」
「さっきからブツブツどうしたの?」
「い?あ、いや……ははは…;」
どうやら先程までの呟きは、相棒であるティナに全て聞かれていたようで、不審な顔を向けられ苦笑いを返す。
「珍しいわね。キャンディーも舐めずに考え事なんて。そんなに重大な事?」
「え;………うん……まあ」
「へぇ………」
微笑しつつ、深くは聞いてこないティナに、ミィは胸を撫で下ろす。たぶん、ティナは気づいてはいるのだろう。人間界は今、バレンタインというお祭りに向けて騒いでいる。門番であり、この場所から動けないミィが何故知っているのかと言うと、数日前、かぐやから聞いたからだった。
「ねぇ、かぐや」
「はい?なんですか?」
「す、好きな人に思いを伝える方法、教えて」
「好きな……人?」
突然の申し出に目を丸くするかぐやに、ミィは真っ赤になりながら俯いた。
「そうですね…告白すればいいんじゃないでしょうか」
「どうやって?」
「あ、と。あ!バレンタインの日に、チョコレートをあげてその時に、告白するとか」
「バレンタイン?チョコレート?」
聞き慣れない単語。キャンディーはよく知っているが、それ以外のお菓子はほとんど知らないミィ。バレンタインはおろか、チョコレートすらどんなものか分からない。うーんと首を捻るミィに、かぐやは説明した。
「バレンタインというのはお祭りの事なんですよ。2/14に、好きな人にお菓子とかをプレゼントして、想いを伝える日なんです」
「へぇ!じゃあチョコレートって?」
「カカオという豆から出来る、黒っぽくて固くて……えーと…すごく甘いお菓子なんです。キャンディーが好きなミィさんなら、きっと気に入りますよ」
「ふむふむ……ブライアスって、チョコレート好きかな?」
「え?ブライアスさん?……どうでしょうか。苦手な男性も居ますからね」
今思えば、ブライアスが好きだとかぐやに教えてしまっているのだが、バレンタインとチョコレートで頭が一杯のミィはそれどころではなかった。
「チョコレートかあ……」
ミィが何気なく口にすると、ティナは妖しげに笑う。
「チョコレートがどうかしたの?」
「へ!?いやいや!なんでもないよ?ないです、はい!!」
「あらそう。後二日しかないわよ?どうする気?」
「どうするって……って、何言ってんのよ!」
思わず声をあげるミィに、ティナはクスクスと笑う。
「そんなに好きなら好きって言っちゃえばいいのに。変な所で意地を張るんだから…」
「っ!!す、すすすす好きって!?だ、誰の事よ!いい加減にしないと怒るわよ!」
「はいはい、ごめんなさいね」
「~~/////ティ~ナ~!!」
真っ赤になって反論するミィをさらりとかわし、黒いトレンチコートを靡かせ、見回りに出かけた。一方のミィは全く…とブツブツ言いながら、再びバレンタインへと思考を切り替えた。
2/14…バレンタイン当日、ミィはブライアスを呼び出した。結局、チョコレートは用意出来なかった。夢幻界の守人である限り、この場から離れることは出来ないし、かといってかぐややティナには頼めないし何よりも、自分は食べた事がないため不安。と言う訳でたどり着いた結論が、キャンディーだった。キャンディーなら自分でいつも持っているし、味もよく知っている。ブライアスが甘い物が大丈夫なのかどうかは謎だが。
「喜んでくれるかな……ブライアス……」
「喜ぶって、何を?」
「!!」
ミィの小さな呟きに、聞き慣れた愛しい彼の声。ミィは驚いて飛び上がり、バッと振り向くと、にこにこしたブライアスがいた。顔を真っ赤にして口をパクパクさせているミィをブライアスは優しく抱きしめる。大好きな彼の匂いに、ミィはウットリと目を閉じる。
しばらく抱き合ってから、ミィはキャンディーをブライアスに差し出した。
「ブライアス、Happy valentine!!大好き!!」
END
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