…どうか、どうかお願いします。彼女に絶望の悪夢を………!!
…また朝がきた。今日もあの地獄に行かなければならない。でも一日でも休んでしまったら……居場所がなくなる。なんでこんな事になったのか……。それはあの日、彼女の罠に嵌まってから。
西尾雛。どこにでもいる普通の女子高生だ。友達もいて、一応恋人もいて、平凡だけど幸せだった。
そう、彼女、『長谷川美香』が転校生してくるまでは。美香は隣町から両親の仕事の都合で引っ越してきた。家は裕福。容姿端麗で甘え上手で、そんな彼女を男子がほっておく訳もなく、ご機嫌をとったり貢いだりとチヤホヤしていた。
とは言っても、雛はまったく気にしておらず、美香に関わる気もなかった。なんの接点もなく、過ごすはずだった。しかし、そうはいかなかった。
「ねぇ。真二くん。私と付き合って」
美香は雛の彼氏である霧島真二に目を付けたのだ。真二はサッカー部のキャプテンを努めていて、なかなかのイケメンで、おまけに優しい。密かにファンクラブがあるくらいだ。しかし、真二は雛と付き合っていることもあり美香を振った。しかし美香は、しつこく食い下がり、泣き落とそうとしたが、真二は応じなかった。
「どうして?私のほうが何倍も可愛いのに!!あんな地味で暗い子のどこがいいの?」
雛をけなす美香に、普段からは想像がつかないほど、憤った真二が言い放つ。
「そういう言い方はないだろう?俺は長谷川みたいな女子は大嫌いなんだよ。雛の悪口言うな!!」
美香は驚いて目を見開く。自分に靡かないどころかこんなキツイ事を言うなんて。親にも言われたことないのに!!
「許さない…地獄を見せてあげる。西尾雛!!」
俯いて黙り込んだ美香に何も声を掛けず、立ち去った真二は、美香がつぶやいたこの台詞を聞いたはずがなかった。
*********
*****
**
次の日、雛は教室に入るなり、クラスメートたちに囲まれた。
「雛!あんた美香にひどい事言ったんだってね!」
「しかも、怪我までさせて、そんな人だと思わなかったわ!」
「自分がブスだからってひがんでんじゃねぇよ!!美香に謝れ!」
……な、なんなのこれ。私が長谷川さんに?理由もないし、大体今まで接触はおろか、言葉さえ交わした事はない。頭の整理がつかず、呆然としている雛を男子が突き飛ばす。雛は机にぶつかりながら倒れる。すると、ドスッとお腹を蹴られる。あまりの痛みで声が出ない。ふと、目線をあげると、女子に守られるように囲まれている美香の姿。その顔は……
……笑っていた………
しばらく蹴られ続けていると、
「もう…もうやめてぇ!!可哀相……だよぅ……」
美香が泣きながら止めに入った。
「だってこの子、美香の事…」
「きっと、きっと美香が何かしちゃったんだよ…」
「美香が悪い訳ないだろう!!悪いのはこいつだ!」
また蹴られるのかと、目を閉じ痛みを覚悟していると、チャイムが鳴った。
クラスメートたちは、舌打ちをしながら、雛から離れていく。美香も数人の女子と一緒に席に戻っていった。雛はノロノロと起き上がり机を直し座る。
この時から雛の地獄の日々が始まった。毎日のように殴られ蹴られ罵られ、私物を捨てられたり、酷い時には机が教室から出されていた。心身が疲弊し、真剣に死を考え始めた雛は、ある儀式を知った。
憎い相手、許せない相手を悪夢に閉じ込める儀式。
ただし、自分の命を捧げるというリスクがあるが、正常な判断が出来なくなっていた雛は、その禁断の呪いに手を出した……。
「ナイトメアよ、我と血と魂の契約を結び、長谷川美香に地獄のような悪夢を!!苦しみを与えよ!!」
《奪われた平穏》
…また朝がきた。今日もあの地獄に行かなければならない。でも一日でも休んでしまったら……居場所がなくなる。なんでこんな事になったのか……。それはあの日、彼女の罠に嵌まってから。
西尾雛。どこにでもいる普通の女子高生だ。友達もいて、一応恋人もいて、平凡だけど幸せだった。
そう、彼女、『長谷川美香』が転校生してくるまでは。美香は隣町から両親の仕事の都合で引っ越してきた。家は裕福。容姿端麗で甘え上手で、そんな彼女を男子がほっておく訳もなく、ご機嫌をとったり貢いだりとチヤホヤしていた。
とは言っても、雛はまったく気にしておらず、美香に関わる気もなかった。なんの接点もなく、過ごすはずだった。しかし、そうはいかなかった。
「ねぇ。真二くん。私と付き合って」
美香は雛の彼氏である霧島真二に目を付けたのだ。真二はサッカー部のキャプテンを努めていて、なかなかのイケメンで、おまけに優しい。密かにファンクラブがあるくらいだ。しかし、真二は雛と付き合っていることもあり美香を振った。しかし美香は、しつこく食い下がり、泣き落とそうとしたが、真二は応じなかった。
「どうして?私のほうが何倍も可愛いのに!!あんな地味で暗い子のどこがいいの?」
雛をけなす美香に、普段からは想像がつかないほど、憤った真二が言い放つ。
「そういう言い方はないだろう?俺は長谷川みたいな女子は大嫌いなんだよ。雛の悪口言うな!!」
美香は驚いて目を見開く。自分に靡かないどころかこんなキツイ事を言うなんて。親にも言われたことないのに!!
「許さない…地獄を見せてあげる。西尾雛!!」
俯いて黙り込んだ美香に何も声を掛けず、立ち去った真二は、美香がつぶやいたこの台詞を聞いたはずがなかった。
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次の日、雛は教室に入るなり、クラスメートたちに囲まれた。
「雛!あんた美香にひどい事言ったんだってね!」
「しかも、怪我までさせて、そんな人だと思わなかったわ!」
「自分がブスだからってひがんでんじゃねぇよ!!美香に謝れ!」
……な、なんなのこれ。私が長谷川さんに?理由もないし、大体今まで接触はおろか、言葉さえ交わした事はない。頭の整理がつかず、呆然としている雛を男子が突き飛ばす。雛は机にぶつかりながら倒れる。すると、ドスッとお腹を蹴られる。あまりの痛みで声が出ない。ふと、目線をあげると、女子に守られるように囲まれている美香の姿。その顔は……
……笑っていた………
しばらく蹴られ続けていると、
「もう…もうやめてぇ!!可哀相……だよぅ……」
美香が泣きながら止めに入った。
「だってこの子、美香の事…」
「きっと、きっと美香が何かしちゃったんだよ…」
「美香が悪い訳ないだろう!!悪いのはこいつだ!」
また蹴られるのかと、目を閉じ痛みを覚悟していると、チャイムが鳴った。
クラスメートたちは、舌打ちをしながら、雛から離れていく。美香も数人の女子と一緒に席に戻っていった。雛はノロノロと起き上がり机を直し座る。
この時から雛の地獄の日々が始まった。毎日のように殴られ蹴られ罵られ、私物を捨てられたり、酷い時には机が教室から出されていた。心身が疲弊し、真剣に死を考え始めた雛は、ある儀式を知った。
《ナイトメア》
憎い相手、許せない相手を悪夢に閉じ込める儀式。
ただし、自分の命を捧げるというリスクがあるが、正常な判断が出来なくなっていた雛は、その禁断の呪いに手を出した……。
「ナイトメアよ、我と血と魂の契約を結び、長谷川美香に地獄のような悪夢を!!苦しみを与えよ!!」
……It's show time……
《奪われた平穏》END
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