夢幻界(ここ)には、『私』の知らない『私』を知っている人達がいる……。



青年に抱えられ、真っ暗な世界を進んでいくと、次第に回りが色付いてきた。
白く淡い色合いのそれは、段々と形になっていき、やがて大きな扉となった。

「さ、着いたよ。夢の入口だよ」
「え……ここ?ここから入るの?」

青年はゆっくりとかぐやを降ろし、キョロキョロと周りを見回す。

「あれ?ミィ?………おいおい、持ち場離れて大丈夫なのか?」
「?ミィ?」

独り言のように呟いた青年の言葉に、名前と思わしき単語を聞き取ったかぐやが、不思議そうに聞く。
すると青年は、頭を掻き苦笑しながら#名前#に向き直る。

「ああ、夢の扉を守る番人なんだ。君を連れて来るように言われたんだけど……どこ行っちゃったのかな」
「番人………」
「あ、そんな警戒しなくても大丈夫!!怖い人じゃないよ」

不安が顔に出ていたのだろう。青年が慌てたようにかぐやに向き直り笑う。

「だからそんな泣きそうな顔しないで?」
「え?あ、ごめんなさい…」

そんな顔をしていたのかと、恥ずかしさにかぐやは顔を赤らめ青年に謝ると、『気にしなくていいよ』と頭を撫でてくれた。その心地よさに少しずつ緊張が緩んでいき、落ち着きを取り戻した。

ここの事も自分の置かれている状況も、その門番に会えば分かる。

かぐやがそう結論づけた時、

「ブライアス!!」
「あら、早かったのね」

…かぐやの運命の歯車がゆっくりと回り始めた……





この出会いに
一縷の希望を託して………



つづく……
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