人の愚かさは
何年何十年、何百年経とうと
変わらない…


《金色の蝶》




「貴女にお願いしたいのです」
「はい……。しかしなぜですか?」
「貴女なら、あの娘の気持ちを理解出来ると思いまして…」
「…………」
「頼みましたよ。睦月」

睦月が霜月に指名されたのは、呪いから三日経った日の事だった。
霜月直々の指名。普段なら嬉しいはずが、今回は手放しでは喜べない。

霜月と別れた後、一人屋敷の長い廊下を歩き、思いを馳せる。
自分は身勝手な人間に、家族共々殺された。確かに霜月の言う通り、美鈴という娘の状況と少し似ている。しかし……

「私が人の為に人を罰する……か」

人の愚かさは昔から変わらない。今回もそうだ。身勝手な人間の被害にあった人嫌いな自分になぜ…とは思ったが、霜月が自分を信頼しているという事が、睦月を動かした。

「あの方の期待を裏切らない為にも、やらなくては……」

睦月は金色の瞳を細め、腰に携えた剣に手を添えると、まばゆく輝き黄金に輝く蝶に姿を変え、夜空に舞い上がった。


それが運命なら
やろうじゃないか

愚かな所業を
裁く『悪夢』を………


《金色の蝶》



END
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