流血、グロテスク表現があります。
苦手な方はご遠慮ください。


《プロローグ》


祖父が亡くなり、形見として渡された懐中時計。
それは、私が幼い頃から欲しがっていた物だった。金のボディに象牙の文字盤。時刻を指し示す針は、トランプのスペードのような形で、幼い私にはハート型に見えていた。


以前、この時計について祖父に聞いてみた事がある。しかし、祖父は黙して語ってはくれなかった。ただ、


『お前にも分かる時が来る…嫌でもな』



…それから10年以上経ち、私は17歳になり高校生になっていた。祖父との思い出は正直あまりない。しかし、時計について聞いた時の、祖父の悲しそうな、辛そうな顔とあの言葉は忘れられなかった。

実は最近、おかしな夢を見るようになった。
古ぼけた洋館に響く赤ん坊の泣き声、鋭い悲鳴………私は夢の中で……泣いていた。『ごめんなさい、ごめんなさい』とひたすら謝りながら……。



一体…何なのだろうか……。



そんなモヤモヤした気持ちを抱えたまま迎えた、修学旅行。まさかそこで、自分の前世と向き合う事になるなんて、想像すらしていなかった。
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