ハロウィンと女神




ハロウィンなんて無縁だと思ってたけど……





「主!!」

「ん?どうした?」


散歩から帰ってきたニコルが、ニコニコしながら僕の側に駆け寄ってきた。
「これを見てください!」とニコルが差し出したのは……

「カボチャ?」

黄色くて大きなカボチャ。首を傾げている僕に、ニコルは笑顔で話しはじめた。
「今日はハロウィンと言うお祭りだと聞きまして。お店の方に選んで貰ったんです!」

……なるほどな。ハロウィンか。だったらやる事はこれしかないだろう。
僕はチェストの引き出しを漁り、彫刻刀(小学生の時に使ってたもの)を取り出し、切り出し刀をニコルに渡した。僕は果物ナイフを台所から持ってきて、まず、カボチャに下絵を薄く付けてから、頭の部分を切り取ってから中をくり抜く。そして、そのカボチャをニコルに渡す。

「ニコル、その刃物で顔を掘ってごらん。怪我しないように気をつけろよ」

「はい!主!」

元気よく返事をすると、ニコルは彫刻刀を握り直し、カリカリと削りだした。

次第にカボチャに顔が現れる。


「なかなか上手いな。ニコル」

「本当ですか?!嬉しいです、主!!」

初めての割にはかなりいい感じに出来上がりつつあるそれに、僕も笑みが零れる。


しばらくカリカリと削っていたニコルが、ふっと息を吐き、満足そうに微笑みながらカボチャを眺める。そこには可愛らしいジャックランタンがいた。

「いかがでしょう?主」

「上出来だな。よし、仕上げに入るぞ」

再び、チェストに手を入れ、災害用にと買って置いた白い蝋燭を取り出した。そして、ニコルが作ったジャックランタンの中にセットし、火を付けてみた。


「綺麗ですね、主」

「夜のほうがもっと綺麗かもな」

「夜が待ち遠しいです…」

ニコルはウットリとジャックランタンを見つめる。そんな彼女を眺め、自然と頬が緩む自分に驚く。

…もしかして…僕は……

戸惑いつつもそれを認めてしまっていいのかと悩む。だって彼女は『女神』。それに一年間しか共にいられない。

……こんな感情を持つ僕を、ニコルはどう思うだろうか……


「主?いかがいたしました?」

突然黙り込んだ僕を心配したのか、僕の顔を覗き込む彼女。不安そうに揺れる碧い瞳にドキリとしてしまう。

「いや、なんでもないよ。ニコル」

「そう、ですか」

眉尻を下げているニコルの柔らかい髪をくしゃくしゃと撫で、ジャックランタンを手に持ち、棚の上に飾る。

「ニコル、買い物に行こうか」

「はい!お供いたします、主!!」

今日の夕飯はカボチャ料理にしようかな…などと考えながら、ニコルの手を握りすっかり涼しくなった秋の風を感じながら、スーパーに向かった。








「今日の夕飯はグラタンだ」

「うわあ、美味しそうです!あ、ジャックランタンが入ってます!」

「ニコル……カボチャって言ってくれよ…」

「はふぅ……ジャックランタン美味しいです(笑)」

「いや、だから……まあいいか…(笑)」




END

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