キリーとスタンデッドの出会いの話。

後半ちょっとギャグ風味?




ある日、黒猫に出会った。


体中血だらけで、

あちこち傷をこさえて…

でも、

俺を見る眼は

鋭い光を放っていた…。








「おい、大丈夫か?」
「…………」
「血だらけだぞ?」
「…………」
「………はあ…;」

先程から、ずっとこんな感じ。
ここ数日、地下の診療所に引きこもっていたが、買い溜めしていた食料も底を付いたので、久しぶりに外に買い出しに出た、その帰りだった。

裏路地をふと見遣ると、なにやら黒い塊が見えた。
最初はぼろ布かと思ったが、近くに寄ってみるとそれは、長い黒髪に黒い服だとわかり、慌てて声を掛けたが反応は無く、ただ浅い息をしている所を見て、まだ生きていると確信した俺は、自分の診療所まで抱えてきた。

…そして冒頭へ戻る。

「縄張り争いでもしたのか?」
「……………」
「随分と派手にやり合ったな」
「……………」
「…………なあ、頼むからなんか反応してくれよ」
「……………」


……全く、警戒心の塊のような奴だ。


遡ること、数時間前……

とりあえず治療のため、汚れた顔や体を軽く拭いてみると、かなりの美少女だと知った。
透けるような白い肌に、艶やかな黒髪に長い睫毛。
しばらく見とれていたが、本来の目的を思いだし、急いで治療した。
所々に細かい切り傷はあるものの、大した怪我はない。ならなぜあんな血だらけで倒れていたのか……?

疑問を抱えたまま、しばらく様子を見ていると、少女が目を覚ました。そして、周りをキョロキョロと見回した後、俺を視界におさめる。

赤い瞳。

まるで鮮血を零したような鮮やかな赤。

その瞳は細められ、まるで俺を射貫くかのように鋭い視線を向ける。


…明らかに、敵意を示しているのは明白だった。


……………―
…………―

「そう睨むなよ。別にお前をどうしようなんて思ってねぇよ…」
「………………」
「………参ったな……お前名前は?」
「……………」
「あ、俺はスタンデッド。一応医者だ。ここは俺の診療所だよ」
「……………」
「傷はとりあえず治療しといたから」
「…………」
「まだ、しばらくは安静にしてろよ?」
「…………」
「……随分と嫌われてるな、俺。初対面なのに…;」

やれやれとため息を吐きながら、さっき買ってきた物を漁る。取り合えず空腹を満たそうと、サンドイッチを手に取ると、


……ぐぅぅ………


腹の音か?…いや俺じゃないぞ?じゃあ………?
俺は音の出所にさりげなく目をやると、顔を耳まで真っ赤にした少女の姿。

「………っ/////」
「おま、………腹減ってんのか?」
「!!………うるさ(きゅるる~)!?////」
「ぷ………はははははっ!腹の虫は正直だなあ!」

思わず吹き出す俺を一瞥し、少女はぷいっとそっぽを向く。口を尖らせ頬を染めるその顔は、至って普通の女の子だった。
ひとしきり笑った俺は、手に持っていたサンドイッチを彼女の側に置いた。

「やるよ」
「…………え」
「足りねぇなら言いな。まだあるからよ」
「…………ん」

てっきりまた睨まれるかと思ったが、彼女は意外にも素直に頷いた。よっぽど腹が減っているのか、サンドイッチの包みを凝視している彼女を眺めていたら、ふと台所にある鍋の中身を思い出した。

「……あ、そういや、アンジェラが持ってきたスープがあったな。持ってきてやるよ」
「…………ん」
「あっためた方が美味いと思うけど、どうする?」
「温かい方がいい…」
「オッケー!分かったよ」
「……………ヒ」
「ん?」

スープを温めるべく台所に向かおうとする俺の背後から、彼女の声が聞こえた。俺が振り向くと、少女は視線を俺に向けた。その瞳は、さっきのような鋭さは、もう無くなっていた。

「キルエリッヒ。私の名前」
「!キルエリッヒか!なかなかセンスの良い名前だな!!」
「………キリーでいい…」
「りょーかい。んじゃ、キリー。スープあっためてくっから、待ってろよ」
「ん……分かった……スタンデッド…」
「ん~?」

名前を聞けた事、会話が出来た事に、年甲斐もなく浮かれた俺に掛けられた彼女、キリーの言葉に、今度は俺が赤面した。






『ありがとう』










「なあ、なんでぶっ倒れてたんだ?」
「え………もう、わ、分かってる癖に…」
「へ?まさかの空腹?」
「う……」
「なあ?なあ?」
「…そ、そうよ!!そのまさかよ!ここ数日ろくなもの食べて無かったから…」
「そっか……あ、ホットドック作ったけどいる?」
「………………いる」







End

スタンデッドとキリー、結構いいカップルになるんじゃないかと思う今日この頃。
早くもキリーがデレていますね。うん。
スタンデッドには最初から当たりが柔らかいようです。
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