お題《アンモライト》より。悪夢のメイの話。彼女の過去に触れた話を書きたかっただけです。切暗。
…出会わなければ…愛さなければ…
…後悔というものは、『後に悔やむ』からそう言うのだと今更理解する。
「メイ、今回は貴女にお願いしたいのです」
人を悪夢に堕とす事など、もう慣れた。
これまでに何人何十人…いやそれ以上。私は悪夢に堕ち、閉じ込められた人達を見てきた。
同情なんてしたことはない。
なのだから………。
「なんで私なの?知ってるでしょ?私は…」
「承知の上です。貴女が殿方を良く思っていないのは知っています」
「だったらっ…」
「……いつまで逃げつづけるおつもりですか?」
「……っ」
私は男が大嫌いだ。
側に寄られるのも、声を掛けられるのも……視線を合わせるのも、いやだ。
『俺が愛しているのはお前だけだ』
『少し、金を工面してくれないか?一緒になりたいんだろう?』
『あいつはただの金づるだ。いらなくなったら…』
ぼんやりと空を仰ぐ。
空には満天の星。その星たちを見守るように輝く月。
…あの日もこんな夜だった。
彼との日々は、あの日の一発の銃声と共に断ち切られた。
予感はしていた。いつかこういう日が来ると。
分かっていた。自分以外に女が居たことも。
気付いていた。私はただの金を吐き出す道具だと思われていたことも。
でも拒めなかった。
突き放せなかった。
別れる事など考えられなかった。だって………
断絶したはずだった。
人―ひと―としての人生を終えた時に。
人―ひと―としての名前を捨てた時に。
あの人を愛したあの時の幸福を噛み締めた自分を。
あの日裏切られ、殺された時の絶望に捕われた自分を。
「私はもう、あの時のなんの力も持たない私じゃないわ……大丈夫、私は強いもの…」
過去は過去。過ぎ去った時間は戻ってはこない。
暫く、空を仰いだまま目を閉じる。
「思い出も記憶もすべて手放さないと……もうこれ以上、囚われたくない……」
私は夢魔だ。
人として生きてきた時の記憶も思い出も……もういらない。
夜風が優しく体を撫でる。
私は蝶に姿を代え夜空に舞った。
END
アンモライト
宝石言葉:過去を手放す
今回はメイ視点で書いてみました。
彼女の過去を少し垣間見るお話を目指したつもりですが、相変わらずのグダりっぷりです;
…出会わなければ…愛さなければ…
Regret
…後悔というものは、『後に悔やむ』からそう言うのだと今更理解する。
「メイ、今回は貴女にお願いしたいのです」
人を悪夢に堕とす事など、もう慣れた。
これまでに何人何十人…いやそれ以上。私は悪夢に堕ち、閉じ込められた人達を見てきた。
同情なんてしたことはない。
自業自得
なのだから………。
「なんで私なの?知ってるでしょ?私は…」
「承知の上です。貴女が殿方を良く思っていないのは知っています」
「だったらっ…」
「……いつまで逃げつづけるおつもりですか?」
「……っ」
私は男が大嫌いだ。
側に寄られるのも、声を掛けられるのも……視線を合わせるのも、いやだ。
『俺が愛しているのはお前だけだ』
『少し、金を工面してくれないか?一緒になりたいんだろう?』
『あいつはただの金づるだ。いらなくなったら…』
コロセバイイ……
ぼんやりと空を仰ぐ。
空には満天の星。その星たちを見守るように輝く月。
…あの日もこんな夜だった。
彼との日々は、あの日の一発の銃声と共に断ち切られた。
予感はしていた。いつかこういう日が来ると。
分かっていた。自分以外に女が居たことも。
気付いていた。私はただの金を吐き出す道具だと思われていたことも。
でも拒めなかった。
突き放せなかった。
別れる事など考えられなかった。だって………
愛していたから……
断絶したはずだった。
人―ひと―としての人生を終えた時に。
人―ひと―としての名前を捨てた時に。
あの人を愛したあの時の幸福を噛み締めた自分を。
あの日裏切られ、殺された時の絶望に捕われた自分を。
「私はもう、あの時のなんの力も持たない私じゃないわ……大丈夫、私は強いもの…」
過去は過去。過ぎ去った時間は戻ってはこない。
暫く、空を仰いだまま目を閉じる。
「思い出も記憶もすべて手放さないと……もうこれ以上、囚われたくない……」
私は夢魔だ。
人として生きてきた時の記憶も思い出も……もういらない。
夜風が優しく体を撫でる。
私は蝶に姿を代え夜空に舞った。
私には、
現在―いま―の記憶がある
だから……
過去も思い出も
貴方に返してあげる…
…そして、
私は記憶を夜空にばらまいた……
Regret
この決断を……
過去を手放した事を
『後悔』する日が
いつか来るのだろうか…
現在―いま―の記憶がある
だから……
過去も思い出も
貴方に返してあげる…
…そして、
私は記憶を夜空にばらまいた……
Regret
この決断を……
過去を手放した事を
『後悔』する日が
いつか来るのだろうか…
END
アンモライト
宝石言葉:過去を手放す
今回はメイ視点で書いてみました。
彼女の過去を少し垣間見るお話を目指したつもりですが、相変わらずのグダりっぷりです;
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